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御客様の住宅が完成するまでの安心

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◎「消費者保護」法のむなしさ・・・

 先週来からの大きな話題となっているのが、富士ハウスの破綻。
地域の名門にして、どうして・・・と嘆かざるをえないが、富士ハウス社はなんと「完成保証保険」に加入していなかった。
 「完成保証」とは、つまり「自分が倒産しても、工事途中・契
約途中の物件は必ず完成させるし、またキャンセルの場合は金銭
でも補償しますよ」という制度。同社はこれに入っていないため
に、着工途中でお金を支払った人は、そのまま完成できずにお金
も帰って来ないという悲惨な状況になってしまった。これは、かっての木の城たいせつ社も同じであったが。
 住宅保証機構や住宅あんしん保証などの制度に加入していれば、
多くの着工途中の消費者は救われたに違いないと思うと、本当に
残念な限り。思えば、かつての姉歯事件では、「引渡後」の出来
事であり、多くの住宅ローン保有者が被害を受けた。もちろん今
でも、その被害者は二重ローンの苦しみから未だに解放されてい
ない。
 それに対し今回の完成保証未加入という現象は、「引渡前」の
出来事である。2月15日の毎日新聞には「保証制度の利用について
は必ず契約書に記載されている。家を建てる人は、事前に事業者
に確認してほしい」という完成保証制度を扱う財団法人住宅保証
機構のコメントが掲載されている。
 しかしながら現在、瑕疵担保履行法によって、「瑕疵保証」の
義務化は決定したものの、「倒産保証」と呼ぶべき完成保証制度
加入の法的義務はない。考えて見れば、家を建てる業者の信用を
どこで判断するかが、消費者の自己責任に任されているというの
が、日本の住宅業界の大きな課題なのではないか。いくら施工が
良くて、安くて、技術があっても、建築途中で倒産してしまうリ
スクまでは誰も分からない。工務店にとって完成保証制度は、い
ざと言うときのためのみならず、その逆に制度加入していること
で消費者に安心を与えられる「免許証」くらいに考えておくべき
時代になっていると言える。